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うつ病闘病記「IT企業に就職」 |
大学でどんなに心理学を学んでも、大学院を出なければ
臨床心理士の資格は取れません。
臨床心理士になったところで、就職は難しいとゼミの教授から聞かされました。
心理学では簡単にお金を稼げないという現実に直面し、
忙しくても、とにかく金が稼げる一般企業への就職を決意しました。
異常なほど盛り上がっていた、「シューカツ(就職活動)」に
早めに取り掛かかっており、楽天的な性格が人事担当者に
好まれたこともあり、多数の大手企業から内定を得ました。
自分は社会から必要とされている人間なのだ、と非常に有頂天になっていました。せっかく学んできた心理学と全く離れた業界に入ることに
若干の違和感を覚えながら、急成長を遂げている=自分も成長できる
という理由で某大手IT通販会社を選びました。
家族や知り合いからは、非常に忙しいと言われているこの会社に入ることに反対
されることも有りました。しかし、楽天的な僕は一切聞き入れませんでした。
このころまで、なんの根拠もなしに
「自分は世界に出ていく優秀な人材なのだ」と確信していました。
・・・どうかしてました。 |
こうして順調に入社までの残り少ない学生生活を楽しんでいたある日、
寝転がってケータイを触っていると、なぜか目が見えにくくなりました。
正確には、視野の外側が欠けてしまったのです。
慌てて眼科へ行き、脳腫瘍の可能性が指摘されました。
虎ノ門にある脳腫瘍専門の外科を紹介され、MRIを撮影しました。
12月25日のとても寒い日でした。
画面に表示されたMRIの映像には、頭蓋骨の底の部分に
親指ほどの白い塊が映し出されていました。
医者から、脳の中心に腫瘍があるのですぐに手術が必要だと言われました。
手術をしてみないと良性か悪性かはわからない。
場所がホルモンを出す場所に近いから、手術が成功しても子どもが作れない、
注射が必要になるなど後遺症が残る可能性があると言われました。
絶望しました。
もう死んでしまうかもしれない。
いっそのこと死んでしまいたい。
ウツ状態になり、毎日涙を流し、睡眠薬を飲まなければ
満足に眠れない日が続きました。
脳腫瘍を切除する手術は2月に行われ、
朝から夕方までの長時間に及ぶ手術は無事に成功しました。
手術の成功と同時に、ウツ状態は一気に晴れました。
今思い返すと、この時から心が不安定な状態を引きずっていたかもしれません。 |
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